2026年9月22日

こんにちは!withこどもクリニック副院長の安原理恵子(りえこ先生)です☺️
「子どもの予防接種、結局いつ打つのがベスト?」「話題のフルミストと注射、どちらを選ぶべき?」「熱が出たけど、検査はすぐに受けられる?」
秋から冬にかけて流行するインフルエンザ。特にお子さんは高熱が出やすく、時にはインフルエンザ脳症や肺炎などの重篤な合併症を引き起こすこともあるため、事前の予防対策や正しく素早い対応が非常に重要です。
このページでは、インフルエンザワクチンの基礎知識から、話題の経鼻ワクチン「フルミスト」との比較、副反応、症状や検査のタイミング、登園・登校基準まで、保護者の方からよくいただく疑問を網羅して分かりやすく解説します。
Part 1. インフルエンザワクチンの基礎知識・接種スケジュール
Q1. インフルエンザワクチンは、いつ頃接種するのがよいですか?
A. 流行が本格化する前(10月〜11月中旬頃)に接種を完了するのが理想です。
ワクチンを接種してから体内で十分な抗体(免疫)ができるまでに約2週間かかります。また、効果の持続期間については、注射が約3〜5ヶ月、フルミストが約1年間です。
特に13歳未満のお子さんは2回接種が必要なため、1回目から抗体が整うまでに約6週間を見込む必要があります。例年の流行ピーク(12月〜3月)に備え、遅くとも12月中旬までに2回目の接種を完了できるよう、10月上旬から計画的にスタートしましょう。
なお、2026年シーズンのように秋口から早期流行する年もあるため、地域の流行状況を確認しながら早めのスケジュールを立てることが大切です。
Q2. 子どものインフルエンザワクチンは何回接種が必要ですか?
A. 注射の不活化ワクチンは13歳未満(生後6か月〜12歳)で「2回」、13歳以上は「1回」が基本です。フルミストは年齢問わず「1回」です。
・注射(不活化ワクチン)
生後6ヶ月〜12歳(13歳未満):2回接種(2〜4週間隔、4週間あけるのが最も効果的)
13歳以上:1回接種(過去の感染・接種歴により1回で十分な免疫が得られます)
・フルミスト(経鼻生ワクチン)
2歳〜18歳(19歳未満):1シーズン1回で完了
Q3. 生後何ヶ月から接種できますか?0歳児も打ったほうがいい?
A. 注射の不活化ワクチンは「生後6ヶ月」から接種可能です。フルミストは「2歳」からです。0歳児は重症化リスクが高いため、接種を推奨します。
生後6ヶ月〜1歳未満のお子さんは、1歳以上と比べてワクチンによる抗体上昇(予防効果)がやや低い傾向にあります。しかし、0歳児が感染すると熱性けいれんや肺炎、脳症などの重症化リスクが高いため、保育園に通っている場合や上の兄弟がいるご家庭では接種が強く推奨されます。また、0歳で接種しておくことで、翌年以降の免疫反応が高まる効果(プライミング効果)も期待できます。
Q4. なぜ子ども(13歳未満)は「2回接種」が必要なのですか?1回じゃダメ?
A. 子どもでは、1回目のワクチン接種だけでは十分な免疫が得られないことがあり、2回目のワクチン接種による「ブースター効果」が必要だからです。
インフルエンザにかかったことやワクチン経験が少ない小さなお子さんでは、1回の接種では十分な抗体が作られないことがあります。およそ2〜4週間あけて2回目を打つことで、免疫細胞が本気で抗体を作り出し(ブースター効果)、防御に十分な免疫量を獲得できます(二次免疫応答)。
Q5. 2回目の接種間隔が4週間以上あいてしまいました。最初からやり直しですか?
A. 最初からやり直す必要はありません。気づいた時点で速やかに2回目を接種してください。
注射(不活化ワクチン)の理想的な間隔は4週間(2〜4週間)ですが、風邪や体調不良などで4週間を超えてしまっても、1回目で得られた基礎的な免疫(プライミング効果)が消えるわけではありません。気づいたタイミングでなるべく早めに2回目を打ちましょう。
Q6. インフルエンザにかかった後でも、ワクチン接種は必要ですか?1回目の接種後にインフルエンザにかかったら、2回目は必要ですか?
A. はい、体調が完全に回復したら、ワクチン接種をおすすめします。
「一度かかったからもう免疫ができたので打たなくてもいいのでは?」と思われるかもしれませんが、インフルエンザ感染後であってもワクチンを打つメリットは非常に大きいです。主な理由は以下の通りです。
1. 流行するウイルスは1種類だけではない(A型・B型の複数株が存在) インフルエンザにはA型(H1N1、H3N2)やB型(ビクトリア系統など)といった複数の種類が存在します。一度感染して得られる免疫は「その時かかった1種類の株」に対するものだけです。シーズン中に別の型(例:A型にかかった後にB型、または別のA型株)に再感染する可能性は十分あります。ワクチンには複数の株が含まれているため、他の型への備えとして接種する意義があります。
2. 重症化を予防するため ワクチンは、万が一別の型に再感染してしまった場合でも、高熱の長期化や肺炎、インフルエンザ脳症などの「重症化」を防ぐ効果が高く期待できます。
3. 周囲への伝播(感染拡大)を防ぐため お子さんがワクチンでしっかり免疫を作っておくことで、ご家庭内の赤ちゃんや高齢者、学校やお友達への感染拡大(水平伝播)を防ぐ防波堤になります。
体調が完全に回復してから(解熱後1〜2週間程度を目安に)、かかりつけ医と相談して接種スケジュールを立てましょう。
Q7. 毎年ワクチンを接種する必要があるのはなぜですか?
A. ウイルスが毎年少しずつ姿を変える(変異する)ことと、ワクチンの効果が約5ヶ月(注射の場合)で薄れるためです。
インフルエンザウイルスは毎年変異を繰り返します。そのため、世界保健機関(WHO)の予測に基づき、その年に流行する可能性が最も高い株を合わせた新しいワクチンが毎年製造されます。また、獲得した免疫も時間の経過とともに低下するため、前年受けていても毎年の接種が必要です。
Part 2. 注射 vs フルミスト(経鼻生ワクチン)の比較と選び方
Q8. フルミストとはどのようなワクチンですか?注射との違いは?
A. 鼻の中にスプレーする「痛みのない生ワクチン」です。
両方の鼻腔内に0.1mLずつ(計0.2mL)噴霧します。弱毒化した生きたウイルスを使用するため、ウイルスの侵入口である鼻の粘膜に直接局所免疫(IgA)を作り出し、高い感染予防効果を発揮します。
| 項目 | 不活化ワクチン(注射) | 経鼻生ワクチン(フルミスト) |
| 接種方法 | 皮下注射 | 鼻の中へのスプレー |
| 対象年齢 | 生後6ヶ月以上(上限なし) | 2歳以上19歳未満 |
| 接種回数 | 13歳未満:2回(2〜4週間隔) 13歳以上:1回 | 誰でも1シーズン1回 |
| 予防効果 | インフルエンザの発症・重症化を予防 | インフルエンザの発症・重症化を予防 |
| 効果の持続 | 約3〜5ヶ月間 | 約1年間 |
| 主な副反応 | 腕の赤み、腫れ、痛み、微熱 | 鼻水、鼻づまり、せき |
Q9. フルミストと注射、どちらを選べばいいですか?
A. お子さんの年齢、持病(喘息等)、家族構成に合わせて選びます。
💡 注射ワクチンがおすすめのお子さん
・生後6か月〜2歳未満のお子さん、または19歳以上の方
・気管支喘息の治療中、喘息症状があるお子様
・ゼラチンアレルギーがある方(フルミストの安定剤にゼラチンが含まれるため)
・川崎病などでアスピリン(サリチル酸系薬)を内服中の方(ライ症候群のリスク)
・妊婦さん、授乳中の方、または、免疫機能が低下している方、同居ご家族に重度の免疫不全の方がいるご家庭
💡 フルミストがおすすめのお子さん
・2歳以上19歳未満のお子さん
・注射がとても苦手なお子さん
・通院回数を減らし、1回で接種を終わらせたい方
・受験生など、シーズンを通して予防したい方
Q10. 喘息(ぜんそく)がありますが、フルミストは受けられますか?
A. 喘息があっても安定しているお子さんはフルミスト接種可能です。最近発作があったり、日常的に吸入・内服薬でコントロールが必要なお子さんは原則として注射(不活化ワクチン)をおすすめします。
フルミストは生ワクチンのため、最近喘息発作があったお子さんや、日常的に喘息の管理中のお子さんが接種すると、喘鳴(ゼーゼーする症状)や呼吸器症状が悪化するリスクがあります。日本小児科学会の指針でも、喘息治療中で最近発作があったり、日常的に吸入・内服薬でコントロール中のお子さんには注射ワクチンが推奨されています。※判断に迷う場合は、お子さんの健康状態やアレルギー歴を踏まえて診察時にご相談ください。
Q11. 家に赤ちゃんや免疫の弱い家族がいても、上の子にフルミストを打てますか?
A. 接種は可能です。接種後1〜2週間は、重度の免疫不全の方との接触を可能な限り避けましょう。
フルミスト接種後は、鼻からごく微量のワクチンウイルスが排出される可能性(水平伝播)があります。添付文書には、「飛沫又は接触によりワクチンウイルスの水平伝播の可能性があるため、ワクチン接種後1〜2週間は、重度の免疫不全者との密接な関係を可能な限り避けるなど、必要な措置を講じることを被接種者又はその保護者に説明すること。」と記載があります。ワクチン接種後1〜2週間は、重度の免疫不全者との接触は可能な限り避けましょう。赤ちゃんや乳児に関するエビデンスはありませんが、新生児との接触はできる限り避けるのが望ましい可能性があります。
Part 3. アレルギー・同時接種・体調・副反応
Q12. 卵アレルギーがあっても接種できますか?
A. 注射もフルミストも問題なく接種可能です。
インフルエンザワクチンは製造過程で鶏卵が使用されますが、高度に精製されているため卵タンパク質はごく微量しか含まれておらず、卵アレルギーがあるお子さんでも安全に接種ができます。
国内の添付文書は、「鶏卵、鶏肉、その他鶏由来のものに対してアレルギーを呈するおそれのある者」を接種要注意者 (接種の判断を行うに際し、注意を要する者) に分類していますが、「注意を要する者」であり、「接種ができない者」ではありません。実際にワクチン1回分に含まれる鶏卵の成分はワクチン1回分に1ng〜10ngとごくわずかな量で、WHOの基準を大きく下回っています。これは通常の食品表示で卵成分に注意が必要なレベルよりもかなり少なく、ワクチン中の卵成分は食品表示で注意が必要なレベルの約1000分の1程度と言えます。米国においては、「卵アレルギーのみの場合は、重症度に関係なく、あらゆるワクチン被接種者に推奨される以上の (特別な) 安全対策は必要ない。」としています。これまでの各国の研究で、卵アレルギーのあるお子さんへのインフルエンザワクチン接種が安全であることが示されています。
ただし、過去に卵でアナフィラキシー(呼吸困難等の重大なアレルギー)を起こした既往がある場合は、事前に医師へご相談ください。
Q13. 他の予防接種(定期接種など)と同時に受けられますか?
A. 他のワクチンと同時に接種可能です。
他のワクチン(MR、水痘、おたふくかぜ、HPVなど)との同時接種が可能です。注射の不活化インフルエンザワクチン、経鼻弱毒生インフルエンザワクチン(フルミスト)いずれも他のワクチンとの接種間隔に制限はありません。お子さんの体調や接種するワクチンの種類によっては慎重に判断する必要がある場合もありますので、主治医の先生にご確認ください。
Q14. 鼻水や軽い咳が出ていても接種できますか?
A. 37.5℃以上の発熱がなく、元気や食欲があれば接種可能です。
軽い鼻水や咳があっても、発熱がない場合は接種可能です。明らかな発熱(37.5℃以上)がある場合や、ぐったりして体調が悪い場合は延期します。当日の診察でお子さんの全身状態を確認して判断します。
Q15. 注射ワクチンの主な副反応と対処法は?
A. 主な副反応は注射部位の赤み・腫れ・痛みで、2〜3日で自然に治まります。
接種部位が赤く腫れたり痛んだりする場合は、清潔な冷たいタオルなどで優しく冷やすと症状が和らぎます。また、数%〜10%程度の方に微熱やだるさが見られることがありますが、こちらも多くは1〜2日で改善します。
まれにアナフィラキシー(息苦しさ、全身のじんましん、ぐったりする)などの重いアレルギー反応が起きることがあるため、接種後30分間は体調変化に注意し、異常を感じたらすぐに医療機関へ連絡してください。
Q16. 接種当日の「お風呂」や「運動」はどうすればいいですか?
A. 入浴は問題ありませんが、激しい運動は控えましょう。
・お風呂:熱がなく体調が良ければ当日入って構いません。注射した部分をゴシゴシ強くこすらないようにしてください。
・運動:当日の激しい運動(習い事のサッカーやスイミングなど)は避け、おうちで安静に過ごしましょう。
Part 4. インフルエンザの症状・検査・受診のタイミング
Q17. インフルエンザは普通の「かぜ」と何が違いますか?
A. 急激な高熱と、全身の強い症状(倦怠感・関節痛)が特徴です。
一般的なかぜが鼻水やのどの痛みから徐々に始まるのに対し、インフルエンザは突然38〜40℃近い高熱が出ます。熱に加えて、強い倦怠感(だるさ)、頭痛、関節痛、筋肉痛などの「全身症状」が急速に現れます。中には肺炎や脳症などの重い合併症が現れ、入院治療を必要とする場合もあります。
Q18. A型とB型の違いは何ですか?
A. 流行時期や症状の特徴が少し異なります。
・A型(12月〜2月頃にピーク):高熱が出やすく、感染力も強力です。世界的な大流行を引き起こしやすい型です。
・B型(2月〜4月頃に流行):A型に比べて熱が比較的軽めなことがありますが、お腹の症状(吐き気・下痢)や強い筋肉痛、熱が一度下がってから再度上がる(二峰性発熱)といった特徴があります。
Q19. 熱がなくてもインフルエンザの可能性はありますか?
A. あります。特に大きな子や感染初期では高熱にならないことがあります。
中学生以上のお子さんや成人、また早期に抗ウイルス薬を開始した場合など、37℃台の微熱にとどまるケースがあります。周囲でインフルエンザが流行しており、強いだるさや咳、家族の感染歴がある場合は、高熱がなくても医療機関にご相談ください。
Q20. 急に熱が出ました。病院ですぐに検査してもらえますか?
A. 発熱から「12時間以上」経ってからの検査が理想的です。
発熱してすぐ(数時間以内)は、体内のウイルス量がまだ少ないため、感染していても迅速検査キットで「陰性(偽陰性)」と出ることがあります。
夜間に発熱した場合は、翌朝以降(発熱から12時間以上経過後)に受診すると正確な診断が可能です。ただし、「ぐったりしている」「呼びかけへの反応が悪い」「息苦しそう」「けいれんを起こした」場合は、12時間を待たずにすぐ受診してください。
Q21. インフルエンザ脳症とは何ですか?注意すべき症状は?
A. 高熱に伴って意識障害やけいれんを引き起こす、命に関わる重篤な合併症です。
特に5歳未満の乳幼児に多く、発熱後数時間〜1日以内に発症することが多いのが特徴です。以下の症状が見られたら、ただちに救急受診してください。
・呼びかけても反応が薄い、意識がもうろうとしている
・けいれんが5分以上続く、または短時間に繰り返す
・意味のわからないことを言う、幻覚が見えている(部屋の隅を怖がる等)
・急に走り出す、飛び降りようとする(異常行動)
Part 5. 治療法・おうちでの看護・登園許可基準
Q22. インフルエンザの治療薬にはどんなものがありますか?年齢や飲みやすさでどう選びますか?
A. 主に5種類のお薬(内服薬・吸入薬・点滴薬)があり、お子さんの年齢、体重、お薬を吸い込めるか(吸入の可否)などを考慮して処方します。
抗インフルエンザ薬は、体内でのウイルスの増殖を抑え、発熱期間を約1〜2日短縮し症状を軽くする効果、また、重症化を予防する効果があります。
幼児、基礎疾患がありインフルエンザの重症化リスクが高い患者、呼吸器症状が強い患者には抗インフルエンザ薬の投与が推奨されます。発症後48時間以内の使用が原則ですが、重症化のリスクが高く症状が遷延する場合は発症後48時間以上経過していても投与が考慮されます。
1. 子どもの主な抗インフルエンザ薬の種類
タミフル(一般名:オセルタミビル)/内服薬(ドライシロップ・カプセル)
対象:生後新生児から使用可能(全年齢対応)
特徴:1日2回、5日間服用します。長年の使用実績があり安全性が高く、赤ちゃんや小さなお子さんの第一選択薬です。シロップ(粉薬を水に溶かすタイプ)があるため飲みやすいですが、少し苦味があるためアイスやジュースに混ぜる工夫が必要なこともあります。
ゾフルーザ(一般名:バロキサビル マルボキシル)/内服薬(錠剤・顆粒)
対象:原則として6歳以上推奨(体重10kg未満の小児にも適応あり)
特徴:1回飲むだけで治療が完了するお薬です。錠剤が飲めないお子さん向けに顆粒タイプもあります。日本小児科学会の指針では以下のように位置づけられています。
・12歳以上:A型・B型ともに他剤と同様に推奨(特にB型インフルエンザでは他剤より優位とされ積極的に使用可能)。
・6歳〜11歳:B型インフルエンザに対しての使用を提案される一方、A型インフルエンザでは耐性ウイルス(薬が効きにくい変異株)が出現しやすい頻度を考慮し、使用を慎重に判断する。
・1歳〜5歳:耐性変異を有するウイルスの排泄が遷延する可能性があるため、積極的な使用を推奨しない。B型インフルエンザウイルス感染例については使用を考慮される。
・新生児〜1歳未満:低出生体重児、新生児に対する安全性は確立しておらず、安全性のデータが限られるため積極的には推奨しない(タミフル推奨)。
イナビル(一般名:ラニナミビル)/吸入薬
対象:吸入ができるお子さん(目安として5〜6歳以上)
特徴:クリニックや薬局で1回(1日)吸入するだけで治療が完了するお薬です。何度も飲む必要がないため負担が少ないのがメリットですが、しっかり息を吸い込む力(吸入手技)が必要です。
リレンザ(一般名:ザナミビル)/吸入薬
対象:吸入ができるお子さん(目安として5歳以上)
特徴:1日2回、5日間吸入します。気管支痙攣の報告があるため、喘息など呼吸器の持病があるお子さんには推奨されません。
ラピアクタ(一般名:ペラミビル)/点滴薬
対象:乳幼児から使用可能
特徴:点滴で直接投与するお薬です。高熱や嘔吐で薬が全く飲めない場合や、水分が摂れず脱水症状を起こして入院が必要な場合などに選択されます。
2. 年齢別・タイプ別の選び方の目安(日本小児科学会の指針に基づく)
0歳〜1歳(新生児・乳児)
推奨薬:タミフル
安全性が最も確立されているタミフルが第一選択です。(※ただし体重2,500g未満の児や、生後2週未満の新生児に対する安全性は確立していません。)
1歳〜5歳(幼児)
推奨薬:タミフル
多くの場合、吸入薬は難しいため内服薬のタミフルが原則推奨となります。ゾフルーザは積極的には推奨されませんが、B型感染時には使用が考慮されることがあります。
6歳〜11歳(小児・小学生)
推奨薬:イナビル、タミフル(B型にはゾフルーザも推奨、A型には慎重投与)
しっかり吸入ができれば1回で終わるイナビル(またはリレンザ)、吸入が難しければタミフルが推奨されます。ゾフルーザはB型には推奨されますが、A型には耐性ウイルスの頻度を考慮し慎重投与とされています。
12歳以上(中学生〜)
推奨薬:ゾフルーザ、イナビル、タミフル
1回内服で治療が完了するゾフルーザや、1回吸入のイナビルがよく選ばれます(特にB型に対してはゾフルーザが優位とされています)。
薬が飲めない・脱水時
推奨薬:ラピアクタ(点滴)
高熱や激しい嘔吐で服薬・吸入が一切できない場合や、脱水症状を伴う場合の医療機関での選択肢となります。
3. 治療におけるポイント
「発症から48時間以内」に使い始める 抗インフルエンザ薬はウイルスの「増殖を抑える」お薬です。発症(発熱)から48時間を過ぎると体内でウイルスが増えきってしまうため、薬の効果が乏しくなります。症状が出たら早めに受診しましょう。
途中でやめずに最後まで使い切る 熱が下がっても体内にはまだウイルスが残っています。タミフルなどを自己判断で途中でやめてしまうと、症状がぶり返したり、薬が効かない耐性ウイルスを生み出す原因になります。指示された期間(5日間など)は最後まで飲み切りましょう。
同居家族への「予防投与」について 抗インフルエンザ薬(タミフル、イナビル、ゾフルーザなど)は、感染予防としてあらかじめ服用する「自費での予防投与」という選択肢もあります。高齢のご家族、基礎疾患のある方、受験生などが同居している場合、陽性者と濃厚接触してから48時間以内に開始することで発症を防ぐ効果があります(※全額自費診療。当院では診察料 4950円+タミフル10カプセル 1080円の自費診療となります)。
Q23. 解熱剤(熱さまし)は家に残っているものを使ってもいいですか?
A. 自己判断で使わず、必ず「アセトアミノフェン」を使用してください。
小児のインフルエンザでは、アスピリン(サリチル酸系)やジクロフェナクなどの解熱鎮痛薬を使用すると、「ライ症候群」や「インフルエンザ脳症」の重症化リスクを高めるため厳禁(禁忌)とされています。お子さんに安全に使用できるのは「アセトアミノフェン」のみです。必ず医師に処方されたものを正しく使用しましょう。
Q24. 水分が取れないときはどうすればいいですか?
A. 経口補水液やスープなどを、スプーン1杯からこまめに与えてください。
高熱や発汗により脱水症状を起こしやすくなります。水や麦茶だけでなく、塩分と糖分がバランスよく含まれた「経口補水液(OS-1など)」や、りんごジュース、スープなどを一口ずつ頻繁に与えましょう。「尿が半日以上出ない」「ぐったりして目が落ちくぼんでいる」「何度も吐く」場合は早めに医療機関を受診してください。
Q25. 異常行動が心配です。家庭での安全対策は?
A. 発症から少なくとも2日間は、お子さんを部屋に一人きりにしないようにしてください。
抗インフルエンザ薬の服用の有無にかかわらず、高熱やウイルス感染自体によって異常行動(ベランダから飛び降りる、急に走り出す)を起こすことがあります。
・なるべく1階の部屋で寝かせる
・マンション等の場合はベランダに面していない部屋を選ぶ
・窓や玄関の鍵(サッシの上部ロック等)をしっかり掛ける
Q26. インフルエンザになったら、いつから登園・登校できますか?
A. 「発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日(幼児は3日)を経過するまで」出席停止となります。
熱が下がったからといって翌日から登園できるわけではありません。学校保健安全法に基づき、以下の基準を両方満たす必要があります。
【発熱した日 = 0日目と数えます】
◆ 小学生・中学生・高校生
・発症した後 5日 を経過していること
・かつ、解熱した後 2日 を経過していること
◆ 幼稚園・保育園(幼児)
・発症した後 5日 を経過していること
・かつ、解熱した後 3日 を経過していること
Q27. 兄弟がインフルエンザになったら、他の兄弟も学校を休ませるべき?
A. 症状がない兄弟まで一律に休む必要(出席停止)はありません。
同居家族がインフルエンザになっても、お子さん本人に症状がなければ登園・登校は可能です。ただし、潜伏期間(1〜3日)を経て発症する可能性があるため、朝の体温測定や健康観察を徹底し、少しでも熱や咳が出た場合は無理をせずお休みさせましょう。
Q28. 家族への二次感染を防ぐ工夫は?
A. 手洗い、換気、湿度の管理(50〜60%)を徹底しましょう。
ウイルスは乾燥した環境で長生きするため、加湿器等で室内の湿度を50〜60%に保ちましょう。こまめな換気と、タオルの共有を避けること、アルコールや石鹸による手洗いが有効です。
Q29. インフルエンザワクチンを受けていれば、絶対にかかりませんか?
A. 100%防げるわけではありませんが、「重症化(脳症・肺炎・入院)」を強力に予防します。
ワクチンの発症予防効果は40〜50%程度ですが、小児のインフルエンザによる入院リスクを約53%減少させるという明確なデータがあります。「かかったけれど軽い症状で済んだ」「怖い脳症を防げた」という点に、ワクチンを接種する大きなメリットがあります。
Q30. 2026年シーズンのインフルエンザ対策、一番大切なポイントは?
A. 流行前のワクチン接種と、毎日の規則正しい生活で免疫力を高めることです。
手洗い・うがいや室内の加湿といった日常のケアに加え、流行前にしっかりとワクチン接種を完了させておくことが、お子さんとご家族を守る最強の防護服になります。
まとめ
子どものインフルエンザワクチンと感染対策についての疑問は解消されましたでしょうか?
インフルエンザ予防接種は、お子さん自身を辛い高熱や重篤な合併症から守るだけでなく、大切なご家族やお友達への感染拡大を防ぐためにも極めて重要です。お子さんの年齢や体質、ご家庭の環境に合わせて適した予防計画を立てていきましょう。
当院では、注射(不活化ワクチン)の接種はすでに開始しており、フルミスト(経鼻生ワクチン)の接種は9月26日(土)から開始する予定です。
※フルミスト(経鼻生ワクチン)は現在まだ在庫があるものの入荷本数に限りがあるため、予約数に応じて受付を終了する場合がございます。ご希望の方はお早めのご予約をおすすめいたします。
詳しい料金や種類につきましては、下記の表をご覧いただき、Webからご予約ください。

インフルエンザの流行にしっかり備えて、一緒に冬を乗り越えていきましょう!ご質問やご不安な点があれば、いつでもお気軽にご相談下さい。
