2026年8月23日

こんにちは。withこどもクリニックの看護師です。
毎年秋が近づくと、「今年もインフルエンザワクチンの時期ですね」と保護者の方からご相談をいただきます。
その中でも特に多いのが、
・「注射が苦手で毎年大泣き…。本当に大変なんです」
・「新しい『フルミスト』って、うちの子でも受けられますか?」
・「結局どちらを選べばいいのでしょうか?」
というご質問です。
当院では、従来からある「注射のインフルエンザワクチン(不活化ワクチン)」に加え、鼻にスプレーする「フルミスト®(経鼻弱毒生ワクチン)」もお選びいただけます。
選択肢が増えたのは嬉しい反面、「うちの子にはどちらが合っているの?」と迷ってしまいますよね。
今回は、保護者の皆さまからよくいただくご質問をもとに、2つのワクチンの違いや選び方について分かりやすくご紹介します。
なぜインフルエンザワクチンが必要なの?
インフルエンザワクチンは、インフルエンザの発症リスクを下げ、万が一感染した場合の重症化を防ぐことを目的としています。
特に小さなお子さんは、高熱や肺炎、中耳炎などの合併症を起こすこともあるため、毎年の予防が大切です。
毎年接種する理由
ウイルスが毎年変化するため
インフルエンザウイルスは毎年少しずつ形を変えながら流行します。
その年に流行が予測される株に合わせて作られたワクチンを接種することで、より効果的な予防が期待できます。
免疫は永続しないため
ワクチンによって得られた免疫は、時間の経過とともに少しずつ低下していきます。
そのため、毎年の接種が推奨されています。
インフルエンザワクチンには2種類あります
インフルエンザワクチンには、腕に注射する「不活化ワクチン」と、鼻に噴射する「経鼻弱毒生ワクチン(フルミスト)」があります。当院では、以下の2種類のワクチンをご用意しています。

💉 注射ワクチン(不活化ワクチン)
従来から使用されている、腕に皮下注射するタイプのワクチンです。
メリット
・生後6か月から大人まで幅広く接種できる
・長年使用されており、安全性が確立されている
・フルミストが受けられない気管支喘息治療中のお子さんや、妊婦さん、免疫機能が低下している方、そのご家族でも安全に接種できる
デメリット
・注射の痛みや恐怖心がある
・十分な免疫をつけるため、13歳未満は2〜4週間あけて2回接種が必要
・接種部位の痛みや腫れ、発熱などがみられることがある
・持続期間が約4〜6ヶ月程度
🌬️ フルミスト(経鼻弱毒生ワクチン)
弱毒化したインフルエンザウイルスを鼻の中にスプレーするタイプのワクチンです。
メリット
・鼻にスプレーするだけなので針の痛みがない
・1回の接種で完了する
・自然な感染に近い形で鼻やのどの粘膜に直接抗体(IgA抗体等)を作るため、予防効果が長持ちする(約1年)
デメリット
・接種後に鼻水・鼻づまり、咳、のどの痛み、発熱などの風邪症状がみられることがある
・2歳未満、19歳以上は接種できない
・重度の気管支喘息や、免疫機能が低下しているお子さんでは推奨されない場合がある
・接種後1〜2週間は、ごく微量のウイルスが排出されるため、乳児や重度の免疫不全の方との接触に配慮が必要
一目でわかる比較表
| 項目 | 注射ワクチン(不活化ワクチン) | フルミスト(弱毒生ワクチン) |
|---|---|---|
| 対象年齢 | 生後6か月以上 | 2歳以上19歳未満 |
| 接種方法 | 腕への皮下注射 | 鼻へのスプレー |
| 接種回数 | 6か月〜12歳:2回 13歳以上:1回 | 1回 |
| 持続期間 | 約4〜6か月 | 約1年 |
| 当院での価格(税込) | 3,300円/回 | 8,800円/回 |
| 主なメリット | 実績が豊富、安全性が確立、妊婦さんもOK | 痛みなし、1回で完了、予防効果約1年 |
| 主なデメリット | 痛みがある、13歳未満は2回接種が必要 | 鼻症状が出やすい、対象制限あり |
※日本小児科学会の見解として、どちらか一方が予防効果として明確に優れているという証拠はなく、対象年齢であればどちらも同等に推奨されています。
どちらを選べばいい?
💡 注射ワクチンがおすすめのお子さん
・生後6か月〜2歳未満のお子さん、または19歳以上の方
・気管支喘息の治療中、喘息症状があるお子様
・ゼラチンアレルギーがある方(フルミストの安定剤にゼラチンが含まれるため)
・川崎病などでアスピリン(サリチル酸系薬)を内服中の方(ライ症候群のリスク)
・妊婦さん、授乳中の方、または、免疫機能が低下している方、同居ご家族に重度の免疫不全の方がいるご家庭
💡 フルミストがおすすめのお子さん
・2歳以上19歳未満のお子さん
・注射がとても苦手なお子さん
・通院回数を減らし、1回で接種を終わらせたい方
・受験生など、シーズンを通して予防したい方
フルミストをご検討の方へ:接種前後・服薬の注意点
直前の抗インフルエンザ薬の使用:過去28日以内に抗インフルエンザ薬(タミフル、ゾフルーザ等)を使用された方は効果が落ちる可能性があるため、注射ワクチンをおすすめします。
接種後のインフルエンザ検査:フルミスト接種後約4週間は、インフルエンザにかかっていなくても検査で陽性反応が出ることがあります。
気管支喘息や免疫不全のあるお子さんについて
重度の気管支喘息がある場合や、喘息の症状が強い場合には、フルミストではなく注射ワクチンをおすすめする場合があります。
また、免疫機能に関わる病気で治療中のお子さんや、ご家族に骨髄移植後など重度の免疫不全の方がいらっしゃる場合には、フルミストの接種について慎重な判断が必要です。
気管支喘息があるお子さんでも、フルミストを接種できる場合もあります。
「喘息があるけれど、フルミストは大丈夫かな?」と心配な場合は、接種前にお気軽にご相談ください。
お子さんの喘息の状態や治療内容、ご家族の状況などを確認したうえで、適したワクチンをご案内します。
アレルギーのあるお子さんについて
卵アレルギーがあるお子さんでも、インフルエンザワクチンは基本的に接種できます。
一方、フルミストにはゼラチンが含まれているため、ゼラチンによる重いアレルギー反応の既往がある場合には接種できないことがあります。
また、これまでにインフルエンザワクチンを接種した後に、アナフィラキシーなどの強いアレルギー反応を起こしたことがあるお子さんは、接種前に医師へご相談ください。
アレルギーの種類やこれまでの症状を確認し、お子さんの状態に応じて適したワクチンをご案内します。
よくあるご質問
Q. 1回目の接種時に12歳で、2回目の接種時に13歳になる場合は何回接種ですか?
1回目の接種時点で12歳であれば、13歳になっていても「12歳の接種」として扱います。
そのため、2回接種が必要です。
Q. 体調を崩した直後でも接種できますか?
37.5℃以上の発熱がある場合は接種できません。
一般的には、解熱後約1週間経過してからの接種をおすすめしています。
風邪症状が続いている場合は、診察時に医師が接種可能か判断いたしますのでご相談ください。
おわりに
診察室で、涙を流しながら注射を頑張るお子さんを見るたびに、私たち看護師も「本当によく頑張ったね」と胸が熱くなります。
だからこそ、フルミストを選んだお子さんが「今年は泣かなかった!」と笑顔で帰っていく姿を見ると、私たちもとても嬉しくなります。
インフルエンザワクチンは、お子さんによって選び方が変わります。
年齢や体質、ご家族の状況、そして「注射はちょっと怖い」という気持ちも含めて、その子に合ったワクチンを選ぶことが大切です。
「うちの子には、どちらが合うかな?」
「喘息があるけれど大丈夫?」
「兄弟で違うワクチンを選んでもいいの?」
そんな疑問や迷いがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。
大切なのは、どちらを選ぶかだけではなく、お子さんとご家族が納得して、安心して冬を迎えられることだと思っています。
今年の冬は、できるだけ「ワクチンに行くのが嫌だな」という気持ちを減らして、親子で少しでも笑顔になれるように。
withこどもクリニックは、お子さんとご家族に合った選択を、一緒に考えていきます。
