子どもの水の事故を防ぐために|お風呂・プール・海・川で気をつけたいことwithこどもクリニック 武蔵小杉365日診療の小児科・アレルギー科親と子の、今日を支える。

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子どもの水の事故を防ぐために|お風呂・プール・海・川で気をつけたいこと

子どもの水の事故を防ぐために|お風呂・プール・海・川で気をつけたいことwithこどもクリニック 武蔵小杉365日診療の小児科・アレルギー科親と子の、今日を支える。

2026年8月11日

子どもの水の事故を防ぐために|お風呂・プール・海・川で気をつけたいこと

こんにちは!毎日暑いですが、皆さん、元気ですか?withこどもクリニック院長の安原潤です。

夏になると、海やプール、川遊びなど、水に触れる機会が一気に増えます。私も子どもたちとプールで遊ぶのが大好きです!

子どもにとって水遊びは楽しい夏の思い出になりますが、一方で、水の事故は「特別な場所」でだけ起こるものではありません。家庭のお風呂や、わずかな水がたまった場所でも溺水は起こります。

そして、子どもの溺水について、ぜひ知っておいていただきたいことがあります。

子どもは、溺れているときに大きな声を出すとは限りません。

こども家庭庁によると、実際に子どもの溺水を経験した保護者の8割以上が、「悲鳴や助けを求める声が聞こえなかった」と回答しています。また、乳幼児は3cm以上の水深でも溺れる可能性があります。[1]

今回は、家庭のお風呂から海・川・プールまで、子どもの水の事故を防ぐために知っておきたいポイントをまとめます。

「少しなら大丈夫」が危険な理由

小さな子どもは、水の危険を十分に判断できません。

特に乳幼児では、身体の発達がまだ十分ではなく、顔が水につかったときに自分で姿勢を戻したり、水面から顔を出したりすることが難しい場合があります。

そのため、「これくらい浅い水なら大丈夫」「すぐ隣にいるから大丈夫」という大人の感覚だけで判断するのは危険です。本当に浅い水でも一瞬で溺れてしまうことがあります。

WHOも、幼い子どもは水の危険を判断する能力や水泳・水上安全の技能が十分に発達していないため、溺水のリスクが高く、大人による積極的な見守りがない状況ではリスクが高まるとしています。[2]

そして大切なのは、「見ている」だけではなく、すぐに手が届く距離にいることです。

こども家庭庁も、子どもだけで水に近づけない工夫をしたうえで、水に接するときには大人が目を離さず、手の届く範囲で見守るよう呼びかけています。[1]

まず見直したい「家庭のお風呂」

乳幼児のいるご家庭では、海やプールだけでなく、毎日使う浴室にも注意が必要です。

入浴中だけでなく、保護者がタオルを取りに行く、着替えを取りに行くなど、ほんの短い時間に事故が起こることがあります。

私も、三男(2歳)と次女(1歳)を自分一人でお風呂に入れている時は、自分がシャンプーで目を閉じる一瞬でさえヒヤヒヤするほど、いつも注意しています。

家庭では、

子どもだけで浴室に入れない
・入浴中は必ず大人が付き添う
・入浴後は浴槽の水を抜く
・浴室のドアや入口に子どもが勝手に入れない工夫をする
・洗面器やバケツなどにも水を残さない

といった環境づくりが大切です。[1][3][4]

特に「残り湯」は、事故の原因になり得ます。

「洗濯に使うから」「次の日もお風呂に使うから」と水を残している場合も、子どもが浴室へ入れない環境を整えることが重要です。

「首浮き輪」は安全装置ではありません

赤ちゃんの首につけるタイプの浮き輪や、浴槽用の浮き輪を使っているご家庭もあるかもしれません。

しかし、首浮き輪をつけているから大丈夫、ということではありません。

日本小児科学会の「傷害速報」には、首浮き輪を使用中に溺水した乳児の事例が繰り返し報告されています。2025年にも類似事例が掲載されており、浴槽内で保護者と一緒にいたにもかかわらず、溺水に至った事例があります。[5][6]

また、日本小児科学会では、浴槽用浮き輪による乳児の溺水事故についても複数の事例を報告しています。[7]

首浮き輪は、保護者の見守りを代わりにしてくれるものではありません。

特に「大人が体を洗っている間、赤ちゃんを浮き輪に入れて待たせる」といった使い方は避けましょう。

海・川・プールでは「泳げるから大丈夫」と考えない

子どもが大きくなり、泳げるようになると、水の事故への心配は少なくなったように感じます。

しかし、泳ぐ能力と、安全に水辺で過ごす能力は同じではありません。

海には波や潮の流れがあります。川には見えにくい流れや急な深みがあります。プールにも、飛び込み、滑って転倒すること、排水口、水上遊具など、それぞれの危険があります。

WHOは2026年の最新の溺水予防パッケージで、溺水対策として「安全な環境づくり」「救助・蘇生能力」「水泳・水上安全教育」「子どもの安全を守る保育環境」など、複数の対策を組み合わせることを推奨しています。[8][9]

つまり、「泳げる」「浮き輪を持っている」だけでは十分ではありません。

川遊びは特に慎重に

川は、一見すると浅く穏やかに見えても、場所によって流れの強さや水深が大きく変わります。

また、上流で雨が降ると、現地では雨が降っていなくても急に増水することがあります。

川遊びをするときは、天候や河川の状況を事前に確認し、危険を感じた場合は水に入らないことが基本です。

ライフジャケットは「正しく選んで、正しく着ける」

海や川、ボートなど自然水域で遊ぶ場合には、子どもの体格に合ったライフジャケットを使用しましょう。

特に重要なのは、

・子どもの体格に合ったサイズを選ぶ
・股ベルトがある場合は正しく装着する
・ファスナーやバックルを確実に固定する
・使用する場所に適した安全基準の製品を選ぶ

ことです。

国土交通省が安全基準への適合を確認したライフジャケットには「桜マーク」が付いています。小型船舶で使用する場合には、法律上の着用義務や適合するタイプについても確認が必要です。[10][11]

ただし、ここでも大切なのは、ライフジャケットは見守りの代わりではないということ。

ライフジャケットを着けていても、子どもから目を離さないことが基本です。[12]

もし子どもが溺れてしまったら

目の前で子どもが水に沈んでしまった場合、一刻を争います。

まず自分自身の安全を確保しながら救助し、水から引き上げます。

反応がない、正常な呼吸がない場合には、119番通報とAEDの手配を依頼し、心肺蘇生を開始します。

2025年版JRC蘇生ガイドラインでは、小児の蘇生について最新のエビデンスに基づく推奨が示されています。[13]

周囲に人がいる場合は、

「119番をお願いします」
「AEDを持ってきてください」

と具体的に役割をお願いしましょう。

一人しかいない場合は、スマートフォンをスピーカーにして119番通報し、通信指令員の指示を受けながら対応することもできます。

「水を吐かせる」はしない

溺れた子どもを逆さにしたり、お腹を押したりして、水を吐かせようとしてはいけません。

救助後は、水を吐かせることよりも、呼吸と循環を評価し、必要な場合には速やかに心肺蘇生を開始することが重要です。[13][14]

助かったように見えても、子どもの様子を観察する

水から引き上げた後、意識が戻っていても、咳や呼吸状態に注意してください。

たとえば、

・咳が続く
・呼吸が速い、苦しそう
・息をするときに異常な音がする
・顔色や唇の色が悪い
・ぐったりしている
・意識や反応がおかしい

といった症状があれば、医療機関への相談・受診が必要です。

「一度元気になったから大丈夫」と自己判断せず、溺水後に症状がある場合や、少しでも心配な場合には医療機関へ相談してください。

なお、「二次溺水」「乾性溺水」といった言葉がインターネットなどで使われることがありますが、これらを独立した医学的な病態として考えるのではなく、溺水後に呼吸状態が悪化する可能性があることに注意する、という理解が大切です。

水の事故は「見守り+環境+準備」で防ぐ

2026年のAAP(米国小児科学会)の最新の政策声明でも、子どもの溺水予防には一つの対策だけでは不十分で、複数の防護策を重ねることが重要とされています。[15][16]

具体的には、

① 子どもだけで水に近づけない
② 水の近くでは手の届く距離で見守る
③ 家庭では浴槽や水の入った容器を管理する
④ 海や川では適切なライフジャケットを使う
⑤ 年齢に応じて水泳・水上安全の知識を身につける
⑥ 大人も心肺蘇生やAEDについて知っておく

という「重ね合わせ」が大切です。

水の事故は、特別な家庭だけに起こるものではありません。

「ほんの数秒なら」
「このくらいの水なら」
「浮き輪をつけているから」

という小さな油断が事故につながることがあります。

今年の夏、水遊びに出かける前に、ぜひご家族で一度だけでも「どこに危険があるか」を話してみてください。

子どもたちが思い切り夏を楽しみ、家族にとって大切な思い出を残せるように。

水の事故を防ぐ一番の準備は、危険を知っておくことです。

参考文献・参考情報

1. こども家庭庁.「水の危険は近くにあります、みんなで危険回避!」.子どもの水の事故の特徴と予防策.
2. World Health Organization (WHO).Drowning. 1 May 2026.溺水の疫学、危険因子、予防策.
3. 日本小児科学会.「子どもの予防可能な傷害と対策:溺水」.
4. 日本小児科学会.「子どもの予防可能な傷害と対策:水遊びと安全」.
5. 日本小児科学会.Injury Alert(傷害速報)No.032「首浮き輪による溺水」.
6. 日本小児科学会.Injury Alert 類似事例「首浮き輪使用中の溺水(No.32 類似事例7)」.2025.
7. 日本小児科学会.「浴槽用浮き輪による乳児溺水事故の3例」.日本小児科学会雑誌.
8. World Health Organization (WHO).Global status report on drowning prevention 2024. 2024.
9. World Health Organization (WHO).Seven strategies to prevent drowning: technical package. 2026.
10. 国土交通省.「海事:ライフジャケットの安全基準と技術基準」.
11. 国土交通省.「海事:ライフジャケットの着用義務拡大」.桜マーク・型式承認制度について.
12. American Academy of Pediatrics (AAP).Prevention of Drowning: Technical Report. Pediatrics. 2026.
13. 日本蘇生協議会(JRC).『JRC蘇生ガイドライン2025』.小児の蘇生(PLS)、一次救命処置(BLS)、ファーストエイド(FA).
14. 日本蘇生協議会(JRC).『JRC蘇生ガイドライン2020』.小児の蘇生・一次救命処置.
15. American Academy of Pediatrics (AAP).Shenoi RP, et al. Prevention of Drowning: Policy Statement. Pediatrics. 2026;158(1).
16.American Academy of Pediatrics (AAP).Prevention of Drowning: Technical Report. Pediatrics. 2026;158(1).
17. World Health Organization (WHO).WHO launches seven strategies to prevent drowning. 23 July 2026.
18. 日本赤十字社.「水上安全法」.水辺での事故防止、救助、応急手当.

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